狂犬病対策

日本の狂犬病予防対策

日本では、以下の対策が取られています。

  1. 狂犬病予防法により犬の飼養者に以下のことを義務付けています。
    • 飼犬登録をすること
    • 毎年1回狂犬病の予防注射を犬に受けさせること
    • 登録時に交付される鑑札、予防注射の後交付される注射済票を犬に付けておくこと
    • 狂犬病予防法
  2. 野犬の捕獲
  3. 海外から来る動物の検疫
    対象動物:犬、ねこ、キツネ、スカンク、アライグマ(コウモリは輸入禁止)
  4. 人を咬んだ犬について狂犬病の検診を実施

なお、大阪府では、4に関連して、大阪府動物の愛護及び管理に関する条例第4条第3項により、「飼犬が人を咬んだことを知ったときは、その犬の飼養者は、直ちにその旨を知事(保健所)に届けなければならない」と定めております。

ヒトの狂犬病予防

もし感染していると思われる犬に噛まれれば…

日本人はイヌやネコをみると無防備にふれようとしがちですが、野犬や野生動物にはむやみに手を出さないようにしましょう。
また、犬の前で急に逃げると追いかけられてかみつかれることがありますので、急な動きをしないようにしましょう。万一狂犬病が否定できない犬などに咬まれた時には、傷口の洗浄消毒後、医療機関で狂犬病ワクチンを接種してください。

1 病原体

狂犬病ウイルスはラブドウイルスの一種です。

2 感染様式

感染した動物にかまれた傷口からウイルスが侵入します。
ウイルスは軟部組織で増殖し、神経を伝わって脳に移行し、中枢神経症状があらわれます。
脳から再び神経を伝い、唾液腺へ移行して唾液中にウイルスが排出されるようになります。

3 症状

ヒトの場合、潜伏期間は9日から数年で通常は20から60日程度です。
発病率は32~64%です。発病するかどうかはかまれた傷口の大きさや体内に入ったウイルス量などで大きくかわります。
症状は、発熱、頭痛、全身倦怠、嘔吐などの不定症状で始まり、かまれた部位の異常感覚があります。
ついで、筋肉の緊張、幻覚、けいれん、嚥下困難などが起きます。液体を飲むとのどがけいれんを起こし、非常に苦しいため水を怖れるようになります(このため狂犬病を恐水病ともいいます)。
犬の遠吠えのようなうなり声をあげ、大量のヨダレをながし、昏睡、呼吸麻痺が起き死亡します。

4 治療方法

狂犬病のおそれのある動物にかまれたら、すぐに傷を水でよく洗い、信頼できる病院でできるだけ早く傷の処置とワクチンを接種します。
(暴露後接種)いったん発病したら治療法はなく、100%死亡します。

5 狂犬病の動物について

前述しておりますが、狂犬病の最も大きな感染原因は犬です。
犬は、狂犬病に感染すると1~2週間の短期間で発病します。
狂犬病の犬は、むやみに歩き回り、柱などの物体にかみついたり、地面を無意味に掘る、狼のような特徴的な遠吠えをするなどの異常行動をとります。また、流れるようにヨダレを流すようになります。(唾液の分泌の増加)。
この時期の犬は攻撃的で、ちょっとした刺激でかみつきます。また、水を飲むとのどがけいれんし苦しむため、水を極端に怖れるようになります。やがて、足腰が立たなくなり、うつろに宙をながめるようになり、死亡します。
犬以外の動物として、アメリカでは人をかむ種類のコウモリやアライグマが、ヨーロッパでは森林部のキツネが、アフリカではジャッカルやマングースが感染源になることがあります。

6 予防方法、かまれた時の対応

野生動物に手を出さない! 
日本では狂犬病が撲滅されて久しく、その危険を軽視しがちです。
日本人旅行者は、犬や猫を見ると無防備に手を出し、なでたり、手から直接エサをあげたりします。しかし、狂犬病は世界のほとんどの大陸で見られ、毎年死亡者がでています。
むやみに野犬や野良猫、野生動物に手を出さないようにしましょう。

かまれる前のワクチン接種

(暴露前接種pre-exposure vaccination)
旅行先で動物に積極的に近づく場合には、事前に狂犬病ワクチンを接種しましょう。
4週間間隔で2回、6ヶ月後に1回接種します。
また現地では長そでなどを着ましょう!唾液のなかにこのウイルスが多く含まれ、一度服にしみ込み、肉体に牙が侵入する際、ウイルス数の減少が図られ、確率的に伝染力の低下が図られるからです。

かまれた後の対応

(暴露後接種post-exposure vaccination)
水洗、傷口の治療、ワクチン接種、動物の調査 狂犬病を持っているおそれのある動物にかまれたら、まず充分に水洗いします。
なお、傷口を口で吸い出したりしないで下さい。次に、できるだけ早くに病院で、傷口の治療を行い、狂犬病と破傷風のワクチンを接種します。
すぐに接種するのが理想ですが、発病前なら効果があると考えられているので、忘れずに接種しましょう。
かんだ動物が飼い犬の場合には、犬が予防接種を受けているかを飼い主に問い合わせることも大切です。

参考:ヒトの狂犬病予防接種

◎大阪府医師会予防接種センター(保健医療センター)
大阪市天王寺区清水谷19番14号(保健医療センター内)

◎関西空港検疫所
大阪府泉南郡田尻町泉州空港中1番地(CIQ合同庁舎4~5階) にお問い合わせください

7 流行地

アフリカ、アジア、中南米のほとんどの地域で流行しています。 
メキシコ、エルサルバドル、グアテマラ、ペルー、コロンビア、エクアドル、インド、ネパール、フィリピン、スリランカ、タイ、ベトナムなどで特に流行しています。
また、アメリカ大陸、ヨーロッパにも存在します。

以上、大阪府HP参考