動物豆知識
人にうつる病気
動物の病気の中には、人にうつる(感染する)ものがあります。動物から感染した病気のことを「動物由来感染症」と呼んでいます。「動物由来感染症」の中には、強い感染力を持つものや重症化するものがあり、これらに対する対策は特に「感染症法」(略称)で定められています。
動物由来感染症は人の病気ですが、病気を制御するためには、その感染源である動物の健康や病気について専門知識を持つ獣医師が、医師と協力して対応することが大変重要です。
動物由来感染症、感染症法については以下のリンクをご覧ください。
動物由来感染症とは(厚生労働省HP)
感染症別情報(厚生労働省HP)
以下に、特にペットから感染する可能性のある病気についてまとめました。
感染症法で指定される主な感染症(上記リンク参照)
狂犬病、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、レプトスピラ症、トキソプラズマ症、エキノコッカス症、ブルセラ症、Q熱、鳥インフルエンザ、オウム病、クリプトコッカス症、など
感染症法で指定されていないけれど知っておきたい主な感染症
パスツレラ症
パスツレラ菌は犬や猫の口膣内に常住する菌で噛まれたり掻かれたりすることで、皮膚に発赤や湿疹を起こしたりします。
トキソプラズマ症
土壌や、十分加熱調理していない豚肉に含まれるトキソプラズマが体内に入ると病気になることがあります。特に妊娠中の女性が感染した場合、流産や神経症状を示すことがあります。
イヌ・ネコ回虫症、アライグマ回虫症
イヌ・ネコの糞便中に存在する寄生虫が免疫力の弱い人に感染することがあります。またアライグマの持つ回虫が稀に子供に感染して重症化することがあります。
猫ひっかき病
名前の通りネコに引っ掻かれることで、「バルトネラ」という菌が侵入し、発熱・発赤しリンパ節を腫らせる症状を示します。
皮膚糸状菌症
イヌ・ネコ・ウサギ・ハムスターからうつるカビの一種で、皮膚に感染すると発赤・水疱から円形脱毛を呈し、リング状に広がります。
湿気を好む菌ですので、動物・ヒトの両者とも清潔な環境と皮膚の乾燥を保つことが大切です。
サルモネラ症
食中毒を起こす「サルモネラ」という菌が、爬虫類などペット(カメ、トカゲなど)の体の中にいます。ペットは特に症状を出しませんが、これを触った人が感染してサルモネラ症になることがあります。
薬剤耐性感染症
抗生物質が効かない細菌感染症であり、人ではサイレントパンデミックを引き起こしています。抗生物質の乱用が原因の一つです。直接接触や食を通して動物と人の間で伝播しています。
今後の展望
海に囲まれた日本での病気は、陸続きと違い病気の移動は頻繁でないと思われがちですが、ひとむかし前には考えられない大量で高速な人の移動や物流により感染症の発生の危険も高まっています。
私たちは知識を持ちそなえ行動することで地域、家族、友人を守る!ということを常日頃から志すのが良いのではないかと思います。